大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(あ)2449 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人塚本重頼、同下山田行雄の上告趣意第一点について

被告人が第一審公判において、司法警察員に対する自白は、論旨摘示の強制又は

任意になされたものでないという趣旨の供述をしていることは所論のとおりである

が、被告人が、単に第一審公判においてそのように述べているだけで、他方第一審

裁判所が強制の有無について調べた証人A(事件取調の警部補、同人は原審におい

ても証人として取り調べられている)、同B(事件取調の巡査部長)はいずれも被

告人の取調をした際強制その他無理な取り調べはしなかつた旨を供述しており、事

件の全般を通じて被告人の司法警察員に対する自白が強制等によりなされたとの事

実を認めるに足る証跡は、記録上存していないし、また、被告人の当時の健康状態

が司法警察員の取調に堪えることができない程度に衰弱していたとの事実も、記録

上これを認めることができないから所論憲法三八条二項違反の主張は前提を欠き、

論旨は採用できない(なお、原判決の是認した第一審判決が証拠に採用している被

告人の司法警察員に対する第一回ないし第四回供述調書は、いずれも、あらかじめ

供述拒否権が告知されている)。

同第二点について

事実誤認、理由不備、訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当

らない。

同第三点について

原判決の是認した第一審判決は、起訴状に記載されている公訴事実中の動機の一

部を敷衍して判示したものであることが判文上明らかであり、かかる場合には訴因

変更の手続を経る必要はないものと解すべきである。そして、論旨引用の名古屋高

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等裁判所の判例は本件に適切でなく、所論は判例違反をいうけれども、実質は原判

決の控訴趣意に対する判断に欠けるところがあるという訴訟法違反の主張に帰し、

上告適法の理由にならない。

被告本人の上告趣意について

論旨は、結局事実誤認の主張に帰するものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に

当らない(なお、論旨中警察が人権じゆうりんを犯して取調を行つたという点につ

いて、前記弁護人塚本重頼外一名の上告趣意第一点に対する判断参照)。

なお本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二八年一一月一〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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